誰でも分かる！修繕積立金の話＃１

杜の都マンションの理事長さん、こんにちは。今日はどういったご相談ですか？

昨年秋ころから一部界隈で騒がれている話ですね。あれは、「値上げ幅の制限」という見出しがついていることがほとんどですが、正確に言うと、「積立開始時の下限の制限」なんですよ。

最近は少なくなってきたとも聞きますが、新築マンションの分譲主は、マンションの購入を検討している人に対して維持コストを低く見せるために、分譲当初の修繕積立金をかなり低く設定しているケースがあるんです。

分譲当初の修繕積立金額が低いと、大規模修繕までに修繕積立金を何度も、何倍にも引き上げなければならなかったり、大規模修繕の直前に多額の一時金を徴収しなければならなくなったりしますよね。

そうなんです。でも、修繕積立金の引き上げや一時金の徴収のためには、何が必要ですか？

流石理事長さん、よくご存じですね。そう、まずは総会決議を得なければなりませんから、総会で否決されると値上げができません。

そうとも言い切れません。値上げの幅や、組合員の構成によっては、否決されることも十分にあり得ます。

例えば、組合員の方に年金暮らしの方が多い場合には「上げられたら支払えない」、自分で住まずに賃貸に出している方が多い場合には「上げられた分を家賃に転嫁できないから困る」、といった理由で反対が多数を占めることだってあり得ます。

確かにそうかもしれません。しかし、仮に総会決議を得られても、まだもう一つハードルがあります。

実際に支払いがなされるか、管理組合が回収できるか、というハードルです。

そうですね。回収の手段としてはいくつかありますが、ただ金銭的にも時間的にもそれなりにコストがかかります。また、組合員も無い袖は振れませんから、手を尽くしても回収できないこともあります。

ですよね。ですから、修繕積立金を何度も引き上げる段階積立や一時金徴収を前提とした、見かけ上維持コストを低く見せる積立計画は適切ではないんです。

そのとおりです。国交省としては、そもそも均等積立方式を推奨しているわけですが、段階積立方式が絶対悪、というわけではありません。

そうです。そのため、国交省は、均等積立方式とした場合の積立金額Ａを基準として、段階積立方式とする場合には初期値の下限をＡの0.6倍とし、最終額の上限をＡの1.1倍とすることで、低すぎる初期値の制限と、無茶な段階積立計画の抑制を図ろうとしているんです。

そういうことなんです。ところで、理事長さんのマンションの修繕積立金は大丈夫なんですか？

それはいいことですね。でも、均等積立方式だからといって、必ずしも大丈夫だとは限りませんよ？

すみません。それでは、修繕積立金はどうやって設定すれば足りるか、について考えてみましょう。